なぜ昔と同じ食事量なのに太るのか?
その正体は「基礎代謝の低下」
「若い頃と食べている量は変わっていないのに、体重が増えた」「特別に食べ過ぎている自覚はないのに、お腹や下半身だけ太ってきた」こうした悩みを抱える人は非常に多いですが、その原因は意志の弱さでも、年齢のせいだけでもありません。最大の要因は、基礎代謝の低下にあります。
基礎代謝とは、呼吸・体温維持・内臓の活動など、生命を維持するために使われるエネルギーのこと。1日の消費カロリーの約60〜70%を占めており、運動よりもはるかに大きな割合を担っています。この基礎代謝が下がれば、当然、何もしていなくても消費されるエネルギーは減ってしまいます。
基礎代謝が下がる最大の理由は「筋肉量の減少」
基礎代謝を決定づける最大の要素が筋肉量です。筋肉は体の中で最もエネルギーを消費する組織であり、筋肉量が多い人ほど、じっとしていても多くのカロリーを消費します。しかし、年齢とともに運動量が減り、デスクワークや家事中心の生活になると、筋肉は使われなくなり、少しずつ減少していきます。
特に落ちやすいのが、太もも・お尻・背中・体幹といった大きな筋肉です。これらは基礎代謝への影響が非常に大きいため、衰えることで1日の消費カロリーは確実に低下します。すると、若い頃は問題なかった食事量でも、今の体には過剰摂取となり、余ったエネルギーが脂肪として蓄積されていきます。
「食べ過ぎ」ではなく「燃やせなくなった体」
ここで重要なのは、太る原因が「食べる量が増えたから」ではないという点です。実際には、体が燃やせる量が減ったことが問題なのです。
昔と同じ食事量 → 消費できていた
今と同じ食事量 → 消費しきれない
この差が、毎日少しずつ脂肪として体に残っていきます。
さらに、筋肉量が減ると血流が悪くなり、冷えやむくみが起こりやすくなります。体温が下がることで代謝はさらに低下し、脂肪が燃えにくい体質へと変化します。こうして「太りやすく、痩せにくい体」の完成です。
食事制限だけのダイエットが逆効果な理由
体重が増えると、多くの人がまず食事量を減らそうとします。しかし、極端な食事制限は筋肉まで減らしてしまうため、基礎代謝をさらに下げる原因になります。体はエネルギー不足を感じると、筋肉を分解して生命維持に使おうとするからです。
結果として一時的に体重は落ちますが、代謝が下がった状態で食事を戻せば、以前よりも脂肪を溜め込みやすくなります。これが「リバウンド」の正体です。痩せようと頑張ったはずが、逆に太りやすい体を作ってしまっているケースは少なくありません。
解決策は「食事を減らす」ではなく「筋肉を守る・増やす」
本当に必要なのは、我慢のダイエットではありません。筋肉量を維持・向上させることです。特に下半身や体幹を中心としたトレーニングを取り入れることで、基礎代謝は少しずつ回復します。筋肉が増えれば、同じ食事量でも脂肪がつきにくくなり、体型も引き締まっていきます。
運動はハードである必要はありません。正しいフォームで、無理のない強度で継続することが重要です。筋肉を味方につけることで、「食べながら太らない体」は十分に作ることができます。
まとめると、
太るのは年齢のせいではない
昔と同じ食事量でも太るのは、意志が弱いからではありません。
筋肉量の減少による基礎代謝の低下という、体の仕組みが原因です。
だからこそ、体型を変える近道は「食事を減らすこと」ではなく、「燃やせる体を取り戻すこと」。
正しい知識と正しいアプローチで、年齢に負けない体は必ず手に入ります。

