タンパク質は「筋肉のため」だけの栄養ではない
タンパク質と聞くと、「筋トレをしている人が摂るもの」「ムキムキになるための栄養」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし実際には、タンパク質は筋肉だけでなく、内臓、皮膚、髪、爪、血液、ホルモン、免疫細胞など、体のあらゆる組織を作る材料です。つまり、生きている限り常に必要とされる“体の基礎素材”なのです。
特に筋肉は、日常生活の中でも常に分解と合成を繰り返しています。歩く、立つ、家事をする、それだけでも筋肉は少しずつ壊れています。その修復に使われるのがタンパク質です。十分に補給されなければ、体は不足分を補うために、さらに筋肉を分解してしまいます。これが「何もしていないのに筋肉が減る」正体です。
体重×1g〜1.5gが必要とされる理由
一般的に推奨される「体重×1〜1.5g」という目安は、筋肉を増やすための特別な数値ではありません。これは筋肉を減らさずに維持するために必要な量です。
体重×1gは、運動量が少ない人でも筋肉の分解を最小限に抑える“最低ライン”。体重×1.2〜1.5gは、運動習慣がある人、ダイエット中の人、40代以降の人が筋肉を守るための“理想量”と考えると分かりやすいでしょう。
年齢を重ねると、同じ量のタンパク質を摂っても筋肉の合成効率が下がります。若い頃と同じ食事をしているつもりでも、体の中では「足りていない」状態が起こりやすいのです。その結果、基礎代謝が下がり、「食べる量は変わらないのに太る」「疲れやすい」「冷えやすい」といった変化が現れます。
ダイエット中こそタンパク質が重要
「痩せたいから食事量を減らす」という選択は、短期的には体重が落ちても、筋肉まで減らしてしまう危険があります。筋肉が減ると代謝が下がり、結果として“痩せにくく太りやすい体”になります。
ダイエット中に体重×1〜1.5gのタンパク質を確保することは、脂肪を落としながら筋肉を守るための必須条件です。タンパク質は満腹感を得やすく、間食を防ぐ効果もあります。つまり、無理な我慢を減らしながら、リバウンドしにくい体を作るための強力な味方なのです。
タンパク質不足が招く見えない不調
タンパク質が不足すると、筋肉量の低下だけでなく、姿勢の崩れ、肩こりや腰痛、膝の不安定感などの原因にもなります。また、肌や髪のハリが失われたり、疲労が抜けにくくなったりするのも、材料不足によるサインです。
体重×1〜1.5gのタンパク質摂取は、見た目を整えるためだけでなく、「将来も動ける体を保つための投資」です。毎食完璧でなくても構いません。肉、魚、卵、大豆製品、乳製品を意識的に選ぶだけで、体は確実に変わります。
運動と同じくらい、いやそれ以上に重要なのが日々の食事。タンパク質を正しく摂ることが、年齢に負けない体づくりの最短ルートなのです。

